今は昔、戦国時代の戦乱の中で三条山の山上に詰めの城が造られた。千代ケ様城(ちよがためしじょう)という。日照りの際にも涸れることなく、そこに籠った武将たちの命をつないだとも言われる山上の池。山頂近くにあり、流れ込む川もない中で絶えることなく湧き出る泉に人々は不思議な力を感じ、竜神伝説も語り継がれるようになった。実際、近世以降においても現地において雨乞いの祈祷が行われ、にわかに降った雨で人々が救われたという。そのような神秘的な雰囲気を漂わせる山上の池は、いつしか摩訶不思議な力が働く磁場が乱れる場所とささやかれるようになった。
「ゼロ磁場」・・・磁場がない・・・というのは言い過ぎかもしれないが、これまで何人もの人が方位磁針を持ち込み、現場で磁場の乱れを確かめてきた。人によっては大きく方位が狂う、あるいは、針が逆の方向を指すといった人もいれば、若干の狂いはみられるものの大したことはないという人もいた。またある人は、方位磁針がクルクル回りなかなか正しい方角を指さないと言い、ある人は、特に変わったことは起きなかったと言う。どうもよく分からない。皆さんも方位磁針を持参して現地を訪れ、真偽のほどを確かめてほしい。
ただ、今はほとんど水の枯れた池ではあるが、以前、スコップでその池を掘り返そうとした人がいたらしい。そうしたところ、空模様がにわかに怪しくなり、大粒の雨に追われるように下山したという話があるから気を付けたいもの。
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